トロッコのジレンマ問題から派生した問題【思考実験】
2艇の小舟が沈みそうになっています。
その1艇には巨漢の男性が1人乗っており、もう1艇には5人が乗っています。
巨漢の男性は、他の5人の体重を足したぐらいの体重があるとします。季節は冬。海に落ちれば命はないでしょう。
そこに、1艇のボートが救助に駆け付けました。
たまたま駆け付けられる位置に止めてあったボートを、あなたが見つけて駆け付けたのです。
ただ、小さいボートであるため、沈みそうなどちらかのボートしか助けられないことがわかっています。さて、救助に向かう途中にあなたは1つの事実を知りました。
あなたが乗ってるボートは巨漢の男性の所有物であるというのです。
巨漢の男性が今日の為に購入し、止めておいたボートに今あなたは乗っています。このときあなたはどちらのボートに助けに向かいますか?
1人でも多くの人を救うという考えからすれば当然5人が乗ったボートを助けに行くべきでしょう。
しかし、救助の為にあなたが乗ったボートは、巨漢の男性がいなければ存在しませんでした。巨漢の男性と救助ボートはセットであり、どちらかが存在してどちらかが存在しないことはありません。
そうなれば、5人のボートは沈む運命にあり、彼らは運命を変える要素を持ち合わせてはいません。
ここまでにご紹介してきたトロッコのジレンマシリーズでは、1人の命か、5人の命か、という一貫した選択が求められる問題を考えてきました。
どちらが正解、という明確な答えはなく、人によってその答えは異なるでしょう。
あなたの中に、1人でも多くの人が助かるようにという当たり前の考えがあったとしても、設定によっていとも簡単に迷いが生じるものだと少し驚かれたのではないでしょうか。
思考実験はあれこれと考え、思考を巡らせることで脳の血流量を増やし、脳を活性化させ脳機能を向上させるトレーニングになります。