13万部ベストセラーの第2弾 『発想力を鍛える33の思考実験』10月30日発売
前作、「論理的思考力を鍛える33の思考実験」は、おかげさまで13万部突破のベストセラーとなり、その続編として今作を出版することになりました。前作は「論理的思考力」に軸を置いたので、今作は「発想力」を意識して執筆しました。そのため、色々な映画やアニメの中にある「心の揺さぶり」や、「矛盾点」、「疑問点」を考える構成になっています。
●思考実験とは
思考実験とは、言葉の通り、「思考」で行う「実験」です。頭の中で思考を進めたり、時にはメモを取ったり、自由な方法で実験を進めていきます。特別な機材は必要ありません。ただ1つ必須なのは自分自身の脳であり、考えるという行動だけです。
時には人の命を扱い、時に天文学的な数字や規模を扱い、さらには時間を遡ったり、別の世界に移動したりと、思考実験は思考さえ追いつけばどんな実験でもできますから、非常に高い自由度を持っています。
たとえば、本書でもご紹介している「水槽の中の脳」は、この世界が仮想現実なのかどうかを考えます。そして、この思考実験を「この世界観を映画にしたら?」と進めた結果、映画「マトリックス」が誕生したのです。思考実験が思考の幅を広げた1つの例でしょう。(「はじめに」より)
本書には、下記の思考実験が収録されています。
発想力を鍛える33の思考実験 収録内容
第1章 心のありかを問う思考実験
【思考実験No.01】スワンプマン
――男が沼のあたりを歩いていると2つの雷が落ち、1つ目の雷で男は死亡、2つ目の雷で男そっくりの男が作られた。男と作られた男は同一人物か
【思考実験No.02】転送装置・1
――人のデータをスキャンし、遠くへ転送する装置が開発されたら、今ここにいる自分はどうなる?
【思考実験No.03】転送装置・2
――転送装置はクローンを作ってオリジナルを抹消する行為だとすると、倫理的に問題があるのか
【思考実験No.04】転送装置・3
――転送が済んだ体には心がないとすると、その体を臓器提供に使ってもいいのだろうか
【思考実験No.05】人間分裂
――1人の人間が2人に分裂してしまったとき、どちらかが本物でどちらかが偽物と考えるべきなのか
【思考実験No.06】中国語の部屋
――中国語をまったく理解しない人が部屋の中に入り、漢字対応表だけを頼りに部屋の外のネイティブと漢字でやりとりをした。この部屋は中国語を理解しているか
【思考実験No.07】機械と心
――人間と変わらない会話ができる機械があるとすれば、その機械は心を持っているのだろうか
【思考実験No.08】哲学的ゾンビ
――主観的体験(クオリア)を持たない「哲学的ゾンビ」が存在すると知ったとき、何が変わるか
第2章 数字と直感が背反する思考実験
【思考実験No.09】曽呂利新左衛門とお米の話
――お米を1日目に1粒、2日目に2粒、3日目に4粒……と倍々に増やしていくと、100日目にはどうなる?
【思考実験No.10】サンクトペテルブルクのパラドックス
――コインを投げて、連続で裏を出したあとに表を出すと、裏が出た回数に応じて賞金が増えるゲームがある。期待値が無限だとすると参加費がいくらなら挑戦するか
【思考実験No.11】ジャガイモのパラドックス
――100kgのジャガイモがあり、その99%は水分で、残りの1kgが固形部分。水分量が1%減ったら全体の重さは何kg?
【思考実験No.12】最後通牒ゲーム
――1万円をAさんとBさんで分配する。どう分配するかはAさんが決め、Bさんは不服であれば拒否できるが拒否すれば2人とも1円ももらえない。どう分配すべきか
【思考実験No.13】ニューカムのパラドックス
――未来予知ができる機械を欺いて最大限の賞金を獲得することはできるか
【思考実験No.14】誕生日のパラドックス
――30人のクラスで2人以上が同じ誕生日である確率はどのくらいか
【思考実験No.15】ヘンペルのカラス
――「すべてのカラスは黒い」という命題を「黒くないものはカラスではない」という対偶から証明できるか
【思考実験No.16】ガリレオの思考実験
――「重いものほど早く落下する」ならば、100kgの鉄球と1kgの鉄球をつないだ物体はどのように落下するか
第3章 価値判断の基準を問う思考実験
【思考実験No.17】芸術の価値・1~本物と偽物~
――高名な画家の作品とされていた絵は、無名の画家の作品だった。作品そのものは変わらないのに価値が下がるのはなぜか
【思考実験No.18】芸術の価値・2~日記と真実~
――価値があるとされていた作品がただの失敗による副産物だったとき、その価値が下がるのはなぜか
【思考実験No.19】芸術の価値・3~巨匠のお墨付き~
――権威を持つ人物が評価した途端に、作品に価値が与えられた。作品自体に変化はないのになぜか
【思考実験No.20】働く意味と生きる意味
――寿命が10年短くなるかわりに一生働かなくてもいい金額が手に入るボタン。押す?
【思考実験No.21】洞窟の比喩
――洞窟の奥の壁に映る影が世界のすべてだと思い込んでいる囚人がいる。私たちが見ている世界もその影にすぎないのではないか
【思考実験No.22】職業と人間の価値
――核爆発で滅亡寸前の世界。シェルターの中で生き延びられるのはどの職業の人か
【思考実験No.23】時限爆弾と拷問
――街中にしかけられた爆弾のありかを特定するために、犯人の娘を拷問するのは是か非か
【思考実験No.24】無意味な労働
――ある地点からある地点まで意味もなく石を運ぶ仕事をする男に、その仕事が無意味なものだと教えるべきか
【思考実験No.25】ビュリダンのロバ
――空腹のロバが違いのない2つの干草の山を前にして、どちらも選べず餓死してしまった。なぜか
【思考実験No.26】ケインズの美人投票
――「多くの人が投票した美人に、自分も投票していた」人に賞金が与えられる美人投票。どんな人に投票すべきか
第4章 現実の常識を疑う思考実験
【思考実験No.27】水槽の中の脳
――この世界は、水槽の中に浮かぶ脳が見せている仮想現実ではないのか
【思考実験No.28】世界5分前誕生仮説
――「この世界は今から5分前に作られた世界である」これを否定することはできるか
【思考実験No.29】人生予定説
――人生はすでに決められており、予定通りに進んでいるのだろうか
【思考実験No.30】読めない歴史書
――誰も読むことができない、文字らしきものが書かれた歴史書が見つかった。その文字は「言語」と呼べるのか
【思考実験No.31】無知のヴェール
――自分についてのあらゆる情報を忘れる「無知のヴェール」をかけられた人々は、話し合いでどのような社会を作るのか
【思考実験No.32】便器のクモ
――便器の中にいるクモをかわいそうに思い、助けようとしたら殺してしまった。クモは本当にかわいそうだったのか
【思考実験No.33】幸福の街オメラス
――1人の少年を犠牲にして他の全員の幸せを手に入れている街では、少年の犠牲はやむを得ないのか