嫌な思いをすると、その意味があったと思いたくなる

脳と思考

人は嫌な思いをすると、その意味があったと思いたくなります。

例えば、近くのスーパーよりも、遠くのスーパーのほうが特売品あって今日はずいぶん安く買い物ができそうだと思い遠くのスーパーに出かけたけれど、特売品がことごとく売り切れだったとします。これは残念ですね。これなら近くのスーパーで済ませておけばよかったということになります。
その時、遠くのスーパーに来たという意味を無意識にでも意識的にでも探してしまいます。
「この冷凍コロッケ、近くのスーパーにはないわ。結構おいしいし、来てよかったかも。」
「あら、いつも買う豆腐と違う豆腐があるわ。これは面白そうね。近くのスーパーでは出会えなかったわ。」
「このスーパーに来たから、今日の夕飯のメニューを変えることにしましょう。かえってそのほうが体にいいメニューだし、遠くまで来たかいがあったというものよ。近くのスーパーよりいい買い物ができたわ。」
「近くのスーパーに行っていたとしたら、特売品のことが気になったかもしれないし、こっちのスーパーに来たことで、たくさん歩けたしね。よかったよかった。」

自分の選択を人は常に正当化しようとします。特に嫌な思いをしたとき、この行動は自分にとって有益で、自分は賢い選択をしたのだと思い込もうとするのです。

ダイエット実験

ある興味深い実験があります。
被験者はダイエットの企画ということで実験に参加します。
半数の被験者は、5回にわたり1回1時間、歌詞を朗読し、その音声が少し遅れて聞こえてくる。その中で朗読を続けるというような、あまり気分の良くない実験に参加させられます。
残りの半数は、5回という回数は同じですが、短時間で終わる実験参加でした。
お分かりの通り、この5回で行ったことはダイエットの効果はありません。

その1年後、被験者の体重を調べたところ、嫌な思いをしたグループのほうは平均3kg体重が減少していたのに対し、短時間で終わったグループは体重に変化がなかったというのです。
嫌な思いをしたグループは、こんなに嫌な思いをしたのだからこのダイエットは意味があったはずだと思い込み、そのため実際に意味があったことにするために、本当にダイエットを頑張ることができたのです。
「こんな嫌な思いをしたのだから、やせられるに決まっているわ。気分が悪くなったのだからダイエットできないなんてあり得ないもの。失敗したら何のためにあんな気分が悪いものに参加したのよ。」

つまりは、企画自体は実験だったとはいえ、ダイエットは結局成功ということになるんですね。

Posted by admin3


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