世界一深い湖は水深何ｍ？―あなたの脳をだますクイズです―
これは、あなたの脳をだます問題です。こんなことを書くと身構えてしまいそうですね。
まずは脳のストレッチです。
１１０００円の高級チョコレートセットが２割引きになったら、いくらになりますか。
頭の中だけで考えてくださいね。
問題の答えは８８００円です。
２割引いた金額は８８００円。
たまたまチョコレートの画像があったのでチョコレートにしましたが、ちょっと高すぎましたね。
頭の中でこういった割引の計算をすると、脳の作業記憶と呼ばれる力が刺激されて脳の訓練に良いですよ。
脳が解きほぐされたところで、ここからが本題です。
世界一深い湖は、深さ何メートルでしょうか？
ゆっくり考えてみてください。
想像を巡らせてイメージしてみてください。
あなたの答えは出ましたか？
答えを発表する前に、日本一深い湖をご紹介しましょう。
日本一深い湖は秋田県仙北市にある淡水湖の田沢湖です。
その深さは４２３ｍで、世界１７位の深さです。
世界１７位、日本で１位の深さは４２３ｍ・・・意外と浅いかも？と感じませんでしたか。
また、世界一深い湖の深さ、もしかしたら自分の予想よりもっと浅いかも？とも考えたのではないでしょうか。
さて、世界一の深さを誇る湖はロシア南東部にあるバイカル湖です。
その深さは・・・
１７４１メートルです。
うわっ、すごく深いな！予想よりはるかに深い・・・というほどでもなかったのではないかと思います。
実は、最初に出した２割引きチョコレート問題は、ただの頭のストレッチではありません。
うすうすそんな気がしていた方が多いとは思いますが、問題の答えである８８００円、この数字が意味を持っています。
８８００円という数字は、自分は全く意識していないと考えていても、なぜかこの数字に影響されてしまう場合が多いのです。
つまり、８８００円から、８８００メートル・・・と勝手に考えてしまい、ここまで深くなくても１７４１という答えよりは大きな数字を思い描きがちになります。
この効果を知ってか知らずか、世界一深い湖の深さを予想させる前に、エベレストの高さを伝えるクイズを見たことがあります。
「世界一高い山はエベレストの８８４８ｍですが、世界一深い湖の深さは何ｍでしょうか。」
エベレストの高さを伝えたことで８８４８ｍが基準になってしまい、実際より深く予想する人が増えるのです。
エベレストがすっぽり入ったりするかな？入らないかな？と想像しそうですよね。
このように、人は近くにある数字を参考にしてしまいます。エベレストのような「ｍ」という単位は同じという関連性のある数字だけでなく、まったく関係のない数字（今回のチョコレートの価格の話）でもこのことは容易に起こり得ます。
年齢当てクイズ
例えば、女性が「私の年齢を当ててほしい。４０より上？下？・・・やっぱりズバリ数字で言って。」と言われたら、聞かれた側は「ということは多分４０歳以上なのに若く見えるってことをいいたいのかな？この人をいい気分にさせたいし、３２歳くらいと言えば喜んでくれるかな？」と考えて答えるでしょう。最初の４０をヒントとして考えるのです。
もしこのとき、女性が「あ、この店、創業５０年なんだって！そうそう、聞きたかったのは私の年齢。何歳に見える？」と言っていたとしたら、知らず知らずのうちに創業５０年という言葉に引きずられて答えを探してしまいます。
「うーん、４４歳？」「え？あ、もうちょっと下。」「・・・あ・・・」
このとき、答えた本人は創業５０年に自分が影響されたとは気づいていないでしょう。
年収当てクイズ
「この社長の年収は！？」というクイズがあったとしましょう。答える人は５人の解答者。
１人目が答えます「うーん・・・１０００万円！！」
次の人が答えます。「え、もう少し上じゃないですか？１３００万円！」
次の人が答えます。「えー、全然わからない！じゃぁ、１２００万円！」
４人目の人が答えます。「いやー、もっともっと上だよ！２０００万円！」
５人目が答えます。「意外と厳しいもんだよ？７００万円！」
２人目から５人目の解答者は明らかに１人目の解答に引きずられています。もしかしたら、１人目の解答者が答える前は、頭の中に「もしかして３億とか？」という数字があったかもしれません。それでも、１人目の「１０００万円」に引きずられて自分の回答を修正してしまうのです。この「１０００万円」という情報がなければ、４人目の解答者は３億と答え、５人目は３０万円と答えていても何らおかしくはないのです。
人は意識的にも無意識にも、手近にある数字に惑わされがちです。しかし、それを知っておくことで、あ、自分は今影響されているな、と気づくことができ、本来の判断力を保つことができるでしょう。