グループと個人、正しい判断を下せるのはどっち?

脳と思考グループ, 個人, 判断

何かを決める時、1人で決めるのと、グループで決めるのではどちらのほうが正しい判断を下せるでしょうか。

当然グループであると思うのが普通ですし、世の中の大切なことを決める必要のある時はグループで物事を決めていますから、社会はグループが正しいと考えています。

しかし、そうともいえない事実があります。

・グループの商品会議

ある商品を売り出そうかとグループで話し合っているとしましょう。
この商品は開発チームが一所懸命に長い期間をかけて作り上げたものです。

会議は商品を売り出す方向に向かっています。
なんせ、それまでに多くの予算がかかっていますし、開発チームが長い時間をかけ作ったものです。
これを否定する空気ではありません。

ある人はこの商品の問題点に気が付いていましたが、この空気の中で指摘すると自分がグループから嫌われると感じて言いませんでした。
別のある人は、この商品がそんなにいいものであると思えませんでしたが、グループの他の人が商品をほめたたえるので、自分が間違っていると感じ何も言いませんでした。
別のある人は、この商品をスバラシイ!と言うことで場が盛り上がるので、そういう発言を続けました。

結果、商品を良いと評価する意見ばかりが飛び交い、欠点を見過ごして発売することになりました。
グループで決めたことですから、この判断は正しいと、その場にいる皆が自信を持っていました。

グループで決める=正しいと考えてしまう

このように、人はグループで決めたことは個人で決めたことよりも正しいと自信を持ちます。
一人で決めたことよりもグループの判断のほうが正しいと考えるのは自然なことでしょう。
しかし、グループで話し合うと、どうしてもグループに合わせてしまいがちです。

話し合いの場で、グループ内で嫌われないように、グループ内で浮かないようにグループが喜ぶ発言をするようになります。
さらにはグループの方向性に合わない考えがあったとしても、その考えを押し殺し、グループに合わせることで自分の居場所を保とうとします。

そして、どうしてもグループの向かう方向に合わせた発言をしていくうちに、発言が過激になり、よりそれが正しいと確信をもってしまうようになります。
グループで話し合うことで、リスクが高い冒険を選択しやすくなることもわかっています。
これは、グループで決定を下すとき、個人で決定を下すときよりも、1人にかかる責任の大きさが小さく感じられることが原因のようです。

その場にいる全員がその考えを持って話し合いに臨んでいたとして、その話し合いで決まったことは正しいと言えるでしょうか。
もちろん、一人で考えるより多くの意見が聞ける意味で、グループで話し合うことに大いに意義があります。
ただ、グループで話し合うとよりグループに合わせてしまい、それぞれの意見を言いにくくなることを知ったうえで、否定的な意見を発言しやすくなる環境づくりが必要と言えるようです。

Posted by admin3


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