高齢になっても記憶力は衰えないことが明らかに
高齢者と若者、どちらのほうが記憶力があるでしょうか。
・・・そりゃ、若者に決まっている。というのが普通の意見だと思います。
「記憶力が衰えないことが明らかになった」なんて言われても、実際若いころより衰えてるし。
そう感じるのだから衰えているに決まっている。
経験的にそうである、と感じるでしょう。
それもそのはず、衰えるというのも正しいからです。
・・・・・・・・・ん?
ですね。わかりにくくしてしまい申し訳ない。
記憶は記憶でも、種類があるのです。
1つは記憶をすること(記銘といいます)。それと、思い出すこと(想起)。
他にもありますが、とりあえずこの2つでいいでしょう。
衰えるのは思い出す想起の部分です(鍛えることは十分できます)。
変わらないのは記銘の部分です。
例1 度忘れ
Aさん「あれ、オーストラリアの首都ってどこだっけ。シドニーじゃなくて。あー知ってるのに・・・!」(想起できない)
Aさんの息子「頭文字は”キ”」
Aさん「そうだそうだ、キャンベラだ。行ったことあるのよ。」(記銘はできているし、情報もしっかり保存されている)
例2記憶テスト
Aさんの息子「覚えて。桜、バス、火星、コップ、時計。」
Aさん「覚えたよ!桜、バス、火星、コップ、時計!」 ※直後は再生が簡単です。実は記憶のシステムが違います。
Aさんの息子「昨日職場でさぁ、上司が~中略~大変だったんだよ。」 ※記憶に邪魔を入れます。
Aさん「そうなの、頑張ったねぇ」
Aさんの息子「さっき覚えた5つのものは?」
Aさん「なんだったっけ・・・桜と、火星と・・・・うーん」 ※確かにさっき覚えたはずなのに思い出せません(想起)。
Aさんの息子「乗り物は?」
Aさん「あーバスバス!」 ※ヒントを与えるとすんなり出ます。記銘はできているのです。
Aさんの息子「あとは食器と身に着けるものだよ」
Aさん「コップ!!・・・と~」
Aさんの息子「母さんの視線に入ってるよ。僕のウデを見て。」
Aさん「時計!!だ、そうだそうだ、そうだった。」
※いわれると確かに覚えたと気づきます。記銘はできているのに想起ができないのです。
・・・・いや、記銘も衰えます。記銘も。と思われるかもしれませんが、実際実験で記銘力は衰えないことが確かめられています。
つまり、覚える力は変わっていないが、思い出せないので、結果記憶力が落ちていると感じている、ということになります。
例えば、先ほどの記憶テストの例でも、覚えたのは次のうちどれ?
「ウメ、桜、バス、飛行機、火星、木星、コップ、スプーン、腕時計、ネックレス」
という聞き方ならおそらく満点だったでしょう。
記銘はできている、ということです。
しかしご注意ください。「私は記憶力が落ちているから、覚える力は低い。」と思っていると本当に記銘力も低下します。実験でも、「記憶テスト」とするより「心理テスト」とするほうがはるかに成績は高くなるそうですから、気持ちは大切です。