海馬とワーキングメモリの違い ―ワーキングメモリがないと会話ができない?

脳知識情報, ワーキングメモリ

ワーキングメモリの機能は、私たちの生活に広く関わっています。

たとえば、「会話」にも、ワーキングメモリは重要です。

会話とワーキングメモリ

子「今日のご飯は何?」
母「カレーライスよ」
子「福神漬けはある?」
母「昨日買ったから冷蔵庫にあるわ」
子「わかった。カレーだから、麦茶を入れようかな」

こんな会話も、ワーキングメモリがないとうまくいきません。
今行っている動作である「会話」を遂行するために、一時的に情報を脳内に保持してくれるワーキングメモリ。
母は、子供の質問をワーキングメモリに入れることで、その返事を決定します。
そして、子は、カレーライスという情報をワーキングメモリにインプットしたことで、福神漬けというワードを脳内で関連付け「福神漬けはある?」と言いました。最後の「麦茶」も、会話中、ずっと、「今日はカレーライスである」という事実を脳内に留めておかない限りできません。

海馬とワーキングメモリの違い

記に重要な役割を果たしている場所として有名なのは、脳の「海馬」と呼ばれる部分です。海馬は、短期、中期的な記憶を保存する場所です。長期的な保存は脳の別の場所で行われています。海馬は容量がいっぱいにならないように、長く保存する記憶は別の場所に移動させているのですね。
普段の仕事場(海馬)に置いてある資料の中で、重要だから保存が必要だけど、今必要なわけではないものは、仕事場ではなく書庫(長期記憶を保存する場所/大脳皮質にあります)に保存する、とイメージするとわかりやすいでしょう。

一時的な保存というと、ワーキングメモリと機能が被るように感じられますが、両者は別々のことを担当しています。ワーキングメモリがないと会話は成立しませんが、海馬が無くなっても会話はできることがわかっています。つまり、「今やっていることが終わるまで、その作業に必要な情報を保持し続ける機能」がワーキングメモリの機能で、その一歩先の、「読んだ本等の記憶をしばらく忘れないでおき、その中で必要な情報があれば長期記憶に回す機能」が海馬ということになります。

ワーキングメモリに保持された記憶は、一連の作業が終わればすっかり忘れてしまいます。ワーキングメモリは容量が少ないのでそうしないと困るからです。一方で海馬はずっと容量が広いので、多くのことを記憶しておけます。特徴として、感情を司る偏桃体と近い場所にあるので、感情が揺さぶられると海馬に記憶が入り込みやすくなります。

ワーキングメモリも、海馬も、鍛えることで能力確実に上昇する部位ですから、ここを鍛えれば仕事効率は大きくアップすること間違いなしです。

Posted by admin3


PAGE TOP